アウディAG、自動運転中の時間活用について只今研究中

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自動運転車に乗車中のプレミアム体験とは、どのようなものなのか…?、独・アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長兼CEO:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)は、フラウンホーファー産業工学研究所(IAO)と共同で、この問題に対して大真面目に取り組んでいる。

アウディAGでは、カルチャー&トレンドコミュニケーション部門の責任者を務めるメラニー ゴールドマン氏が、この研究に携わっているが、同氏によると「クルマからステアリングホイールがなくなったら、プレミアムモビリティの在り方も変わる可能性があります」と口を開いた。

さらにゴールドマン氏は、「将来、クルマでA地点からB地点まで移動する間に、人々はインターネットでサイトを閲覧したり、子供と遊んだり、仕事に没頭したりできるようになるでしょう。

この目的のため私たちは、フラウンホーファー研究所の専門スタッフと協力しながら、自動運転中にどのような時間の使い方をするのが適切なのか、見い出していきたいと考えています」と話す。

それは、この2017年現時点では実現していないゆえ、途方も無く先が永く思え、出口が見え難い。

しかしその最終目的に確実に到達するため、シュトゥットガルトにあるフラウンホーファー研究所内で、アウディAGは、自動運転の状況を再現できる特別なドライビングシミュレーターを製作した。

これにはステアリングホイールは設置されておらず、インテリアは様々なアレンジが可能となっている。走行中は大型のプロジェクターを使い、夜間の市街地ドライブのイメージも再現することもできる。

また、ディスプレイに表示されるデジタルメッセージにより、乗員の注意をそらしたり、ウインドーにスモークをかけたり、照明の色と室内騒音のレベルや質を調整することもできる仕組みだ。

今日の現代社会に於いて、ドライバーはクルマの中で、一日に約50分間を過ごしていると言われている。

アウディは、「25時間目」プロジェクトと名付けた同研究を通じて、自動運転車のなかで、この時間を有効に使う方法を熱心に研究している。

この研究について先のメラニー ゴールドマン氏は、「プロジェクトの前提として私たちは、人とクルマのインテリジェントなインターフェイスは、ユーザー個人の好みを学習し、柔軟に対応していくという考えを基礎部分で持っています。

このようにして、将来アウディのお客様は、自分の時間をより自由に使えるようになるでしょう。つまり時間使いの達人になれるのです」と語る。

こうした考え方を踏まえ、アウディAGのプロジェクトチームは、まずファーストステップとして、ハンブルグ、サンフランシスコ、東京に住む人々を、2つの側面から着目した。

まずひとつは『現在クルマのなかで、インフォテイメントはどのような役割を果たしているのか?』

ふたつめは『未来のクルマが生み出す自由な時間に、人々はなにをしたいと望むのか?』である。

こうした問題に関し、心理学者、人類学者、都市及び交通プランナーといった人々を含めた様々な専門家たちと議論を重ねた。

セカンドステップでは、自動運転車のなかで可能となる3つのタイムモードを定義した。

それは「クオリティタイム」、「プロダクティブタイム」及び「ダウンタイム(静養のための時間)」である。

いわゆる「クオリティタイム」とは、人々が例えば、子供と過ごしたり、家族や友人と電話で話したりして時間を過ごす時を指す。

対して「プロダクティブタイム」は、主として仕事の時間となる。そして「ダウンタイム」では、読書をしたり、インターネットでサイトを閲覧したり、映画を見たり、といったリラックスした時間を過ごす。

この3つのタイムモードについて、より深く研究するために、アウディAGはフラウンホーファー研究所の専門家に支援を求めた。

現段階で直近の研究活動に於いては、チームの関心は上記の3つのモードのうち、主に「プロダクティブタイム」に向けられているようである。

さて、このシュミレーションの実験の対象となったのは、1980年以降に生まれで、自動運転車のユーザー候補と注目されている、いわゆるミレニアル世代の人々とした。

実験には30人が参加し、それぞれ集中力が求められる、幾つかの作業を行った。これは、自動運転車のなかで、何らかの仕事をする状況を想定したものだ。

作業を行っている間に、脳波(EEG)と反応時間、作業のエラー率を測定し、参加者の主観的印象も記録した。

このEEGの結果は非常に判り易いもので、外部から邪魔が入らない状況では、人間の脳は、よりリラックスした状態になる。

例えば窓ガラスを曇らせて、照明のセッティングを最適なものにし、デジタルメッセージの表示もやめると、作業はより迅速に行えるようになった。実験に参加した人々も、より集中することができたと感想を述べている。

反対に、「現実に近い」運転状況の下では、脳への負担が大きくなった。

この場合、実験参加者は、時として広告を目にし、ソーシャルネットワークからの情報を受け取る一方で、快適な照明のセッティングや、スモークをかけた窓ガラスといった環境は提供されなかった。

この実験結果についてメラニー ゴールドマン氏は、「この結果から、最適なバランスを見いだすことがなにより重要であることが判りました。

デジタル化が進んだ未来では、どんなことも想像可能です。クルマのなかであらゆるものを提供できるようになるため、ユーザーは情報量の多さに圧倒されてしまうかもしれません。

しかしながら、私たちはあくまで人間中心の発想を持ち続けたいと考えています。

クルマはスマートなフィルター装置となって、必要な情報だけ必要なときにユーザーに届くようにしなければなりません」と話している。