ボッシュ、レーダー情報を活用した自動運転用マップを世界初開発

Tweet
このエントリーをはてなブックマークに追加

ボッシュの「Radar Road Signature」は従来型のあらゆる地図フォーマットに対応可能

独・ボッシュと、オランダのマップ・交通情報プロバイダーのTomTom社は、世界に先駆けレーダー情報を使用した、自動運転用マップのローカリゼーションレイヤー(複数のレイヤーで構成された、高度な自動運転のためのマップ素材)の開発に成功した。

このレイヤーシステムの『Radar Road Signature(レーダー ロード シグニチャー)』により、ボッシュは自動運転用高解像マップの開発競争に於いて、一歩前進を果たしたことになると云う。

これまで、こうしたレイヤー素材作成にあたっては、カメラデータが用いられてきたが、 ボッシュのRadar Road Signatureは、数十億に及ぶリフレクション(反射)ポイントで構成されている。

「Radar Road Signature」により、自動運転車両がいつでも確実に自車の位置を特定可能に

このシステムを具体的に使用した場合、自動車が走行中にレーダー信号がガードレールや道路標識など、あらゆるところに当たると、道筋に沿ってそれらの対象物を再現する。つまり車両の現在位置の推定に、周囲の物体を全て使うのだ。

ちなみに一般的な地図データだけを使った位置推定では、車載センサーで認識した特徴物を地図データのものと照合する。

この場合、具体的には赤外線レーザースキャナーなど集めた点群データをベクトル(線)データに変換し、信号機や標識などの一部の物体を照合するための特徴物にする。

しかしこの場合、信号機などが遮られて認識できなかった場合、見落とす可能性がある。一方、ボッシュの技術を利用したマップ於いて自動運転車両は、車線内での対象物の位置を見落とすこと無く、数cm単位の精度で把握できるようになると云う。

ボッシュ取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は、「この『Radar Road Signature』は、自動運転に向けた重要なマイルストーンとなるでしょう。

このシステムがあれば、自動運転車両はいつでも自車の位置を確実に特定できるようになるからです。

「Radar Road Signature」のためにデータを提供する最初の車が、2020年までに欧州と米国で完成予定

またボッシュの『Radar Road Signature』の大きな特長は、その高い安定性にあります。

カメラデータのみをベースにして自車の位置を特定するマップとは異なり、この『Radar Road Signature』は、夜間や見通しが悪い場所でもしっかり機能します。

さらに、このシステムは1km毎にわずか5kB(キロバイト)のデータをクラウドに送るのですが、このデータ量はカメラデータのみをベースにしたマップの場合の2分の1程度に抑えられ、システムへの負担も軽減されます」と語っている。

なお同社によると2020年までに『Radar Road Signature』を実現する第一弾の車両が、欧州と米国で提供できるようになる見込みとなっている。

ボッシュとTomTomは、2015年から提携関係を構築。高精度マップへの技術の組み込みに集中して取り組んできた

一方、TomTomのHarold Goddijn CEOは、「ボッシュと協力した「Radar Road Signature」を通じて補助的な位置特定データを発表 できることを大変喜ばしく思っています。

このシステムによって、今後は自動運転車両の自車位置特定が あらゆる点でより信頼性の高いものとなっていくでしょう。

2015年7月の提携以来、私たちは『Radar Road Signature』とTomTom製の高精度マップへの技術の組み込みに集中して取り組んできました。

ボッシュは現在、最大250mの範囲を検知できる77GHzのレーダーセンサーのグローバル マーケット リーダーとなっています(一般のカメラセンサーの最大検知範囲は150m程度)。

ボッシュが今後の課題として掲げていたのは、目的に合わせたレーダーセンサーの性能向上にあった

これらのセンサーは、現在自動緊急ブレーキシステムやアダプティブ クルーズ コントロール(ACC)などのドライバー アシスタンス システムが機能するよう、移動する物体を検知する役割を担っています。

しかし、『Radar Road Signature』を実現するには、動かない物体も検知できなくてはならないため、既存のレーダーセンサーの性能向上が求められるのです。

その向上を図った新世代のボッシュ製レーダーセンサーは今後、『Radar Road Signature』に必要なデータを提供できるようになります。

従って数年後に市場投入される車両は、新しい自動運転車両用マップを活用する新しいアシスタンス機能を搭載していることになるでしょう」と述べている。

システムは、「ローカリゼーションレイヤー」「プランニングレイヤー」「ダイナミックレイヤー」の三層で構成される

高精度マップは、搭載したセンサーの感知範囲を超えて情報を提供するため、自動運転には欠かせない存在です。現在のナビゲーションシステムに用いられているマップと異なり、この高精度マップは複数のレイヤーで構成されています。

その仕組みは「ローカリゼーションレイヤー」「プランニングレイヤー」「ダイナミックレイヤー」に分けられますが、自動運転車両は、ボッシュの『Radar Road Signature』の補助的なカメラローカリゼーションマップから成るローカリゼーションレイヤーを用いて、車線内での自車位置を特定することができます。

ます自動運転車両は、サラウンドセンサー経由で入手した物体に関する情報と、ローカリゼーションレイヤーから得た関連情報を比較し、その物体と自車の相対的な位置を把握します。

そしてプランニングレイヤーは、自動運転中の個々の操舵を計算するために用いられます(軌道プランニング)。

このレイヤーには、道筋、道路標識、制限速度といった情報だけでなく、カーブや坂などに関する情報も含まれています。

自動運転車両はこのプランニングレイヤーを使用して、例えば車線をいつ変更すべきかを決定できるようになります。

走行環境の交通渋滞、工事現場、事故多発地域や利用可能な駐車スペースなど、頻繁に変動する交通状況に関する情報はダイナミックレイヤーに保存されます。

この高精度マップを最新の状態に保つために欧州、北米、アジア太平洋地域の高速道路でそれぞれで100万台の車両が必要

これら自動運転用高精度マップを構成するレイヤーは、いずれも定期的な更新が必要で、ダイナミックレイヤーについてはリアルタイムで更新を行う必要があります。

私たちの高精度マップを最新の状態に保つためには、欧州、北米、アジア太平洋地域の高速道路でそれぞれ、約100万台の車両が必要になると考えています。

その理由は、各レイヤーに用いられる最新のデータが運転中に車載センサーによって生成されるからです。

レーダーセンサーのデータは、ボッシュのCCU(コネクティビティ コントロール ユニット)などのコミュニケーションボックス経由で車両からメーカーのクラウドに送信され、さらにBosch IoT Cloudにも送られます」と語る。

ボッシュはこの100万台の車両データをもとに、従来型のあらゆる地図 フォーマットに対応した『Radar Road Signature』を作り上げようとしていいるようだ。