ホンダ、ザウバーF1チームとの技術提携計画を解消


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)は日本時間の7月27日23時、フォーミュラ・ワン・レーシングチームのSauber F1 Team(ザウバー エフワン チーム)に対するF1エンジン供給計画を白紙化したと発表した。

これは、来る翌2018年シーズンからのFIAフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)で、ホンダが、ザウバーF1チームへパワーユニット供給するとしていた計画で、これを先の2017年4月30日にホンダ・ザウバー双方で発表していた。

両社が白紙化に至った具体的な詳報について、現段階ではホンダ並びザウバーチーム双方いずれからも得られていないが、ザウバーチーム内に於ける代表の交代が、双方のパワーユニット供給計画白紙化のひとつの因子になったものと考えられている。

これは当初、パワーユニット供給発表に基づき、同計画を進めてきたザウバーチーム内に於いて、今から約1ヶ月前の6月21日、ザウバー・ホールディングスの会長パスカル・ピッチ氏が、「当社の将来に対する異なる見解により、チーム代表を努めていたモニシャ・カルテンボーンがザウバー・グループから即刻辞任することを発表する」との声明が出たことに起因する。

このチーム代表の退任が、ホンダのパワーユニット供給計画に関して、不安定要因になるのではないかと、その時点からF1パドックでは取り沙汰されていた。

モニーシャ・カルテンボーン氏は、インドのデヘラードゥーン生まれ。オーストリア・ウィーン大学で法律学を専攻し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで修士号を取得。

卒業後は国際連合への勤務を経て、当時、ザウバーチームの株式を保有していた独・フリッツ・カイザー・グループ (Fritz Kaiser) で、企業間法務取引を担当。

この時、ザウバーチームとペトロナスとの共同事業をマネージメントしたことを契機に2000年、法務局長としてザウバーチームに加入。

1993年にF1参入を果たしていたザウバーチームが、「BMWザウバー」から、「新生ザウバー」として再出発した2010年1月にザウバーチームのCEOに就任。

2012年にはザウバーの株式の3分の1を取得し、フォーミュラ・ワン・レーシングの歴史上、女性初のF1チーム代表となった。

しかし昨年2016年6月。ザウバーチームの大半の株式をスイスの投資グループであるロングボウ・ファイナンス S.A.(Longbow Finance S.A.)が取得。これに伴いカルテンボーン氏は、自身の株式を放棄しつつも、チーム代表の役職を継続していた。

その後の翌月、およそ今から1週間前の7月21日、ザウバーF1チームは、新チーム代表に昨年ルノーのチーム代表を務めていたフレデリク・ヴァスール(Frédéric Vasseur)氏の起用を発表していた。

ホンダからの現段階での公式発表によると、「供給体制を整備する中で双方の目指す方向性に相違が生じたため、提携解消の合意に至りました」としており、ホンダのモータースポーツ部長 山本 雅史氏は、「ザウバーとは、供給決定までの過程で非常に良い信頼関係を築くことができており、一緒に2018年シーズンを迎えることを楽しみにしていました。

しかし、先方の運営体制の変化などに伴い、互いの目指す方向性に相違が生じたため、双方合意の上でパートナーシップ計画の解消を決定しました。

これまでの協力に対してザウバーに感謝すると共に、今後の健闘を祈ります。

今回、このような発表をしなければいけないことは残念ですが、Hondaのモータースポーツへの情熱と、F1に対する強いコミットメントに変化はありません」と結んでいる。

ちなみにフォーミュラ・ワン・レーシングの世界は、この世界で一定の利権を握るべく流入する巨額の資金や、欧州地域を中心とするステークスホルダー達の政治力学で、物事が進む世界であり、それゆえにあらゆるファクターでホンダ製パワーユニットの今後の行方は未知数だ。

しかしここ数年の実績を踏まえてもなお、ホンダ自身はF1に留まり、同世界での覇者を目指していく考えに躊躇はない様子だ。普段から「何が起こっても不思議ではない」と云われるフォーミュラ・ワン・レーシングに於いて、来る2018年に向け、ホンダは今も新たな展開を模索し続けている。(坂上 賢治)

Sauber F1 Team(ザウバー エフワン チーム)公式ウェブサイト: