昭和シェル石油、ガス拡散電極による人工光合成技術で水と二酸化炭素から炭化水素の直接合成に成功

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太陽光エネルギーからの変換効率で0.71%を実現

昭和シェル石油株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・グループCEO:亀岡剛)は、太陽光のエネルギーを利用した上で、原料として水と二酸化炭素を用い、有用物質を直接合成する研究開発を行ってきた。
この研究過程で、気体状態の二酸化炭素が同時に触媒に接触する構造のガス拡散電極を用い、常温常圧下に於いて太陽光エネルギーだけで炭化水素などの有用な資源へ変換することに世界で初めて成功した。

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この成果は2017年3月2~5日に京都府の立命館大学で行われる国際学会ICARP2017(2017 International Conference on Artificial Photosynthesis)で発表を予定している。

現在、世界では地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が発効されるなど、温暖化対策として二酸化炭素削減に向けて議論が進められている。

この二酸化炭素の排出量を抑える方法として、再生可能エネルギーを利用し二酸化炭素を炭化水素などの資源へ変換する技術の実現が期待されているが、二酸化炭素は化学的に安定で炭化水素などに変換するのは困難である。

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そうしたなか日本は近年、太陽光をエネルギー源とする人工光合成技術によって二酸化炭素を有用物質に変換する研究で世界を牽引している。

しかしながら、多くの研究機関では二酸化炭素をいったん水に溶かした状態で変換する方式を採用しており、原料となる二酸化炭素が少量しか水に溶けないため、変換が難しいという課題があった。

一方、同社はエネルギー企業として持続可能な社会の実現を目指し、二酸化炭素低減に向けた研究開発を行ってきた。

そして今回、燃料電池等で使用されているガス拡散電極を用い、気体の二酸化炭素を直接反応させることに成功した。

図1に示すように、二酸化炭素が反応する電極には独自に開発した触媒を使った「ガス拡散電極」を用いた。

「光陽極」には半導体光触媒とソーラーフロンティア製のCIS薄膜太陽電池(銅・インジウム・セレンを用いて独自技術で生産する太陽電池で経済効率が高く環境に優しい)との積層構造を利用した電極を用意。

これに疑似太陽光を照射し、メタンを太陽光エネルギー変換効率(二酸化炭素と水からメタンが生成するときに蓄積されたエネルギー量を、光陽極に照射された太陽光のエネルギー量で割った値)60.61%、エチレンを同0.1%で合成することに成功した。

すなわち、炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%となり、自然界の植物の光合成と同レベル(植物が光合成により水と空気中の二酸化炭素からデンプンを生成する効率は一般的に0.1~2.5%程度)とになった。

また同社ではこの技術が気体の二酸化炭素を直接利用できることから、今後の実用化に向け、大きな一歩になると考えているという。

これを踏まえて同社は、「このガス拡散電極を用いた人工光合成の研究を進め、2030年までに二酸化炭素から高効率で炭化水素やアルコール等の有用物質を製造する技術を確立することで、二酸化炭素の再利用による持続可能な社会の実現を目指します」と述べている。