トヨタ自動車、2017年3月期決算発表「豊田社長挨拶」

Tweet
このエントリーをはてなブックマークに追加

トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、代表取締役社長 : 豊田章男、以下トヨタ)は、平成29年5月10日に2017年3月期決算発表を実施し、その席上に於いて豊田章男社長は、冒頭で下記挨拶を行った。

トヨタ自動車、2017年3月期決算発表「豊田社長挨拶」

お待たせいたしました。
豊田でございます。

本日はお忙しいなか、私どもの決算発表にお越しいただき、誠にありがとうございます。

2017年3月期の決算は、グループ一丸となった原価改善活動や、各国・各地域における懸命な販売努力により、1兆9,943億円の営業利益を確保することができました。

これも、世界中でトヨタのクルマをご愛顧いただいたお客様のおかげと深く感謝申しあげます。

また、販売店、仕入先をはじめとする多くの関係者の皆様のご尽力に対しまして、改めて心より御礼申しあげます。

株主の皆様への期末配当は、一株当たり110円とさせて頂きたいと思います。

これにより、当期の一株あたり配当金は、中間配当100円とあわせ、年間では210円となります。

また、2,500億円、もしくは5,000万株を上限とする自己株式の取得を新たに実施する計画です。

株主の皆様にトヨタの株を持っていて良かったと思っていただけるよう、これからも持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

今回の決算に関しまして、私の考えをお話しさせて頂きたいと思います。

私たちは、「モノづくりを通じて社会に貢献する会社でありたい」と思っております。

そのために、私たち自身がどのような環境でも持続的に成長していける会社となることを目指してまいりました。

「意志ある踊り場」で磨いてきた「もっといいクルマづくり・人づくり」に加え、「未来への挑戦」、「強靭な財務基盤の構築」という3つの意志の下、いよいよ持続的成長の「実行フェーズ」に入ってきたとも申しあげてまいりました。

その取り組みに、終わりはありませんが、今回の決算は、為替の追い風も向い風も無い中で、まさに現在の等身大の実力が素直に表れたものだと感じております。

「もっといいクルマづくり」ということに関しましては、TNGAという全く新しいクルマづくりへのチャレンジが、新型プリウスやPHV、新小型SUVであるC-HRという形となり、お客様へ実際にお届けすることができました。

TNGAを通じて、技術開発、生産技術、生産現場を貫くブレない軸として「もっといいクルマづくり」が定着してきたと実感しております。

これまで、トヨタのクルマは面白くない、特徴がないと評価されることもありましたが、「走り」と「デザイン」については、お客様からも評価頂けるようになってきたのではないかと思っております。

その一方で、もっといいクルマを「賢く」つくるという点では、まだまだ改善の余地があることが見えてきました。

例えば、もっといいクルマにしたいという思いのあまり、性能や品質の競争力向上を優先し、コストやリードタイムは後回しということになっていないか。

あるいは、適正販価-適正利益=あるべき原価という基本原則を徹底的に突き詰める仕事ができているか。

言わば、開発、生産、調達、営業、管理部門に至るまで、トヨタのあらゆる職場で、「お客様目線」のクルマづくりが実践できていないのではないかという強い「危機感」を感じております。

私はもっといいクルマづくりの原点はコンパクトカーにあると考えております。

より多くのヒトに移動の楽しさや自由を提供するために、ボデーサイズは小さくても、安全性や快適な室内空間を実現しなければならない。排気量は小さくても、快適な走りを実現しなければならない。そして、何よりも、それらを安価な価格で実現しなければならないのがコンパクトカーだからです。

昨年導入したカンパニー制で、コンパクトカーを専門で見るトヨタ・コンパクトカー・カンパニーを立ち上げ、ダイハツ工業の完全子会社化や新興国小型車カンパニーの設立などに取り組んでまいりましたのも、コンパクトカーというクルマづくりの基本に立ち返ることを目的としております。

コンパクトカーを担当するカンパニーが、お互いをベンチマークし、より賢いつくり方を学んでいく。

そして、そのカンパニーが、より大きいクルマを担当するカンパニーと競争していくなど、カンパニー同士が切磋琢磨することで、トヨタのクルマづくりを、より軽く、より低コストなものに変えていきたいと思っております。

今回の決算は、目先の利益確保を最優先するのではなく、未来への投資も安定的・継続的に進めていくというトヨタの意志が表れた決算でもあったと思います。

現在の自動車産業はパラダイムシフトが求められており、特にAI、自動運転、ロボティクス、コネクティッドなどの新しい領域が重要なカギを握ると考えております。

こうした時代だからこそ、「未来」を創造する技術力と志を持った企業を育てていくことが必要だと考え、昨年1月にTRIを設立いたしました。
今後も10年先、20年先を見据えた種まきを続けていきたいと思っております。

こうした種まきは私たちだけでなく、ITなどの異業種や新興自動車メーカーなど、様々なプレーヤーも行っており、クルマそのものはもちろん、未来の自動車産業も従来とは全く違った世界になるかもしれません。

私は、クルマが世界中の皆様に愛されるものであって欲しいと願っております。愛されるクルマとは、新しいソフトウェアの革新ももちろん大事ですが、これまで私たちが磨きあげてきたハードウェアと組み合わされることで、それが一台のクルマとしてお客様の大切なパートナーとなり、かけがえのない存在となることが最も大切なことだと考えております。

お客様の笑顔のために、ソフトウェアもハードウェアも全方位でやっていくのがトヨタです。

そしてそれは、全ての人に安全、安心なモビリティをお届けする責任があるからだと思っております。

私たちの取り組みは、まだまだ道半ばですが、未来のために今を変える強い覚悟を持ち、リスクを取って自ら道を切り拓いていこうとする会社に変わってきていると思います。

強靭な財務基盤を作りあげ、どのような時でもブレることなく投資を進める準備もできています。

これまでに蒔いてきた種を一日一日必死に育て、その積み重ねの中から、未来を生き抜く競争力を生みだしていきたいと思っております。

最後になりますが、今期に対する私の思いを申しあげれば、自分達の等身大の姿を真正面から見据え、徹底的に競争力を磨いていく年ということに尽きると思います。

そのためには、未来への投資をしっかり進めると共に、今日を生き抜くための「もっといいクルマづくり」と「賢いクルマづくり」の両輪をしっかり回していくことが大切です。

経営にとって一番問題なのは、課題があるということよりも、課題があるのかないのか、あるとすれば、今どれだけあるのかが分からないでいることです。

これまで、カンパニー制やアライアンスなどを通じ、課題を顕在化させ、改善しなければならないようマネジメントや現場に仕向けるための改革に取り組んできました。

できたこと、できなかったことを真摯に見つめ、ここをボトムラインに、持続的成長のオンラインで歩みを進めてまいりたいと思います。

皆様の変わらぬご理解、ご支援をお願い致します。
ありがとうございました。