VW(フォルクスワーゲン)グループ、2015年次決算会見を独国から世界に発信

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冒頭でマティアス ミュラーCEO、2016年は過渡期の年。また改革を加速する契機になると語る

独フォルクスワーゲン AG(本社:ドイツ・ニーダーザクセン州ヴォルフスブルク、グループCEO:マティアス・ミューラー、以降VW)は、去る2016年4月28日(独・中央時間)、VW本社所在地である独国・ウォルフスブルグに於いて、2015年の年次決算会見を実施。

同会見内容を、リアルタイムで世界の報道部門に向けて発信した。

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フォルクスワーゲンAGの取締役会会長(CEO)のマティアス ミュラー氏

その会見によると冒頭で、同フォルクスワーゲン グループは、組織の再編によって、今日に於いても着実な歩みで前進し続けていると述べ、2016年度には将来の成功を見据えた重要なステップを踏んでいくと謳っている。

フォルクスワーゲンAGの取締役会会長(CEO)のマティアス ミュラー氏は、4月28日木曜日(独中央時間)にウォルフスブルグ本社で開催された2015 年の年次決算会見の席で、「2016 年はフォルクスワーゲンにとって過渡期の年となるでしょう。

また、2016年度はさらに改革を加速し、新しく、より良いフォルクスワーゲンとなる経営基盤を確立する年となります」述べた。

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今後はグループ全体をよりサステナブルに、テクノロジー分野では世界最先端を走る革新的な企業に仕立てていく

ミュラー氏によれば、「弊社に限らず、自動車産業は現在、次の大きな革新的飛躍と根本的な変革の時期に差し掛かっています。

この歴史的な変革期を控えて、我々は有利なスタート位置に立っています」と自社の立ち位置の優位性を強調した。

その理由をミュラー氏は具体的に、我々は競争に勝ち抜くための、多くの強みを持っていますとたたみ掛け、とりわけ、グループ傘下の12もの強力なブランド、高い技術力、国際市場での大きな存在感、品質へのこだわり、熱意にあふれた従業員、健全な財務状況などについて例を挙げて説明した。

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同氏はさらに、「我々は未来のモビリティ世界を構築する上で、重要な役割を果たすことを目指しています。

我々の目標はフォルクスワーゲン グループを、より効率的で、かつ機敏な対応力があり、より起業精神に富み、さらに勇敢で、よりサステナブルで、テクノロジー面でも革新的な企業に仕立て上げていくことにあります。

それは言うまでもなく、大変な課題が山積みではありますが、我々は、そこに向けて力強い歩みを既に進めています。

未来への飛翔を目指してフォルクスワーゲングループ全体で、2020年までに計20以上のニューモデルを投入していく

フォルクスワーゲン グループは現在、今年の中頃に発表予定の、次世代事業戦略の策定に注力しています。

この戦略は、デジタル化、ネットワーク化、e モビリティ、新しいモビリティサービスなど、自動車産業の将来に向けた領域に焦点を当てたものになります。

フォルクスワーゲンは、相次ぐ電気自動車や、プラグインハイブリッドモデルの開発・発売に代表されるように、それらすべての領域で既に世界市場に向けた取り組みを開始しています。

今後は、その取り組みを、さらに系統的かつ集中的に実施する段階に入りました。先の今年永頃に発表させい頂く予定のStrategy 2025では、そのフレームワークをいよいよ具体的にお示しすることになるのです。

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またフォルクスワーゲン グループは、来る2020年までに合計20 以上のニューモデルを追加していくことも、ここに明らかにさせて頂きます。

その一例として、フォルクスワーゲンブランドでは、電気自動車のための基本アーキテクチャーである「モジューラー エレクトリフィケーション ツールキット(MEB)を開発中です。

このMEBに基づいて設計された最初のクルマが、2010 年代末には街でご覧頂けることになるでしょう。

デジタル化やモビリティサービスなど、今後重要度が増す分野では、さらに積極的な他企業連携や投資活動を示唆した

我々はそうした電気自動車を、フォルクスワーゲンの新しい代名詞の一つにしようと考えています。

こうした計画を踏まえ、今後重要になっていく様々な新技術領域開拓のために、社内のリソースを大きく育て、その提供マーケットを拡大していくだけでなく、これまで以上に他の企業との新たな連携や、戦略的投資なども視野に入れた計画を立てています。

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もはや自動車メーカーが単独で、しかも同じセクター内だけで、すべてのことを行う時代は終わりました。今後もそのようなことはないでしょう。

予め分野を限定したり、単独で投資も労力も莫大になる領域で努力を重ねたり、自分たちが最も知識を持っており、我々だけが良い結果も出せると言う思い込みは、むしろ掲げた目標を実現する助けにはなりません。

具体的に、デジタル化と新しいモビリティサービスの 2 つの分野を例に挙げると、これらはいずれも、今後自動車メーカーが、多くの利益を上げられる可能性がある分野となっています。

我々は、これらの分野に、できる限り参入していきたいと考えています。そのためには、これまでは接点のなかった多く企業や技術領域、文化圏への新規参入が不可欠であり、そこには多様かつ、複数の事業連携が必ず鍵となります。

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e モビリティ領域は、未来のフォルクスワーゲンブランドを体現する代名詞のひとつとして独立法人を打ち立て育て上げていく

実際、我々は、新しいモビリティサービスに関しては、幾つかの有望なアイデアを実現するために目下懸命に取り込んでいるプロジェクトが、複数あります。

もちろんそのための議論も、広く深く進展させてきました。さらに、グループ全体のために、将来のモビリティサービス事業を、企業家精神に基づいて、迅速かつ俊敏な対応力で推進できる独立法人も近い将来設立する予定です。

また今年はグループの大規模な再編に加えて、ディーゼル案件への対応が、他に優先しなければならない活動事項となるでしょう。

この問題に関して、フォルクスワーゲンにとって最も重要な事は、この影響を我々が与えてしまった世界の方々、そして直接的な被害を受けた我々の大切なお客様に、説得力のある解決策をご提供することです。

これには真摯に心を込めて取り組み、対象車両の最後の1台に至るまで、きちんと対応することが、もっとも重要な任務だと考えています。

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ディーゼル問題に関しては科せられた全責務をまっとうしていく。VWグループはそこから逃れることは決してない

そもそもディーゼルエンジンに不正なソフトウェアを搭載したことは、明らかなルール違反であり、道徳的な道を外れた行為でした。本当に申し訳ないと思っています。

これまでフォルクスワーゲンに信頼を寄せて下さってきた多くのお客様やステークスホルダー各位様を大きく落胆させてしまったことを、なにより残念に思います。

しかし我々は、この重い責任から逃れることは決してありません。また、信頼を回復するために、出来るだけのことを精一杯行っていきたいと考えています。

一方で、フォルクスワーゲン グループが、ディーゼル問題に起因する巨額な特別項目を計上することになった昨年度を振り返ると、フォルクスワーゲン グループの業績自体は、大変有り難いことに大変好調です。

というのは、これまで幾つもの持続可能な事業の柱を構築してきているため、企業としての体質自体が、これまで以上に揺るぎないものになっているからです。

なおこれについては、弊社グループの最高財務責任者(CFO)のフランク ヴィッターがご説明します」と、水を向けた。

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VWグループの最高財務責任者(CFO)のフランク ヴィッター氏

財務分野に於ける2015会計では、純流動性資産が176億ユーロから245億ユーロに増加、流動性政策自体は健全である

これを受けて以降のスピーチを受け持ったフランク ヴィッター氏は、「自動車部門の純流動性資産が、2015 年末までに 176 億ユーロから 245 億ユーロに増加していることは、当社の流動性政策が健全であることを明確に示しています。

2015会計年度におけるフォルクスワーゲン グループ全体の販売台数は、前年比2.0%減となる 990万台でした。しかし販売台数の減少にもかかわらず、年間売上高は増加しています。

とりわけ、為替レートが全体として有利に推移したことおよびファイナンシャル サービス事業が好調だったことにより、売上高は2,133億ユーロ(前年:2,025億ユーロ)に達し、前年度の数値を 5.4%上回りました。

特別項目を除外すれば、フォルクスワーゲンの営業利益は、2014 年度の数値とほぼ同じレベルの 128 億ユーロでした。特別項目を除いた営業利益率は、想定範囲内の 6.0%でした。

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ディーゼル問題により、2015 年度に合計 162 億ユーロの特別費用が計上され、それが本決算に反映されています。

この数字には、関連するディーゼルエンジンに対する未決定の技術的対策および買い戻しに関わる 78 億ユーロの引当金も含まれています。

さらに、世界各国での訴訟リスクに備えた 70 億ユーロの引当金も計上されています。

堅調な事業活動ではあるものの、ディーゼル問題に起因する特別損失の影響を受けたのは確かである

フォルクスワーゲン グループは、2015 年の決算報告に、現時点で想定および算出可能なディーゼル案件に関するあらゆる費用を引当金として計上しています。

ディーゼル案件以外にも、トラック事業および南米の乗用車事業を再編するための特別費用が 2 億ユーロずつ計上されており、この費用もマイナスの影響を与えています。

また、米国およびカナダ当局が、欠陥の疑いのあるタカタ製エアバッグを交換するよう全ての自動車メーカーに命じたことから、その費用として 3 億ユーロの引当金を計上しています。

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それらを含めて、2015会計年度の決算書に特別項目として計上された損失の合計は169億ユーロになりました。

結果として、営業利益は大きく影響を受けて-41 億ユーロ(同 127 億ユーロ)となりました。営業利益率も-1.9%(同 6.3%)に減少しました。

車両販売面を筆頭に営業利益は大幅に減少しているものの、グループの財務状況は引き続き堅調である

なお一方で、新車の販売台数に関わる数字には、中国における合弁事業の台数も含まれています。

フォルクスワーゲンは昨年、中国(香港を含む)で、2014 年より 3.4%少ない 350 万台の車両を販売しました。

しかし、中国における合弁事業の数字は、グループの売上高および営業利益には反映されていません。

事業がスタートして以来、持ち株法に基づいた会計処理が行なわれているからで、2015年に中国での合弁事業でフォルクスワーゲンに分配される利益は、約 52 億ユーロでした。

グループの財務収支は、昨年 28 億ユーロに増加しました(同 21 億ユーロ)。

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財務収支は、スズキ株の売却益15億ユーロの他、中国合弁事業からの持分利益増でプラスと依然堅調である

これには、スズキ株の売却益 15 億ユーロが含まれます。有利な為替レートと低くなった金利負担により、中国合弁事業からの持分利益も前年より増加し、プラスの影響を及ぼしました。

その一方で、報告日におけるデリバティブ金融商品の評価損、および MAN SE の経営権と損益の譲渡に伴うプットオプションと補償権の評価損が、損失として計上されました。

全体として、2015 年におけるフォルクスワーゲン グループの税引き前利益は-13 億ユーロ(同 148 億ユーロ)となりました。税引き前営業利益率は、前年の 7.3%から-0.6%に減少しました。税引き後利益は-14 億ユーロです(同 118 億ユーロ)。

営業利益は大幅に減少しているものの、グループの財務状況は引き続き堅調であることから、取締役会および監査役会は、2016 年 6 月 22 日に開催されるフォルクスワーゲン AG の年次株主総会で、普通株に対し 1 株あたり 0.11 ユーロ、優先株に対して 1 株あたり 0.17 ユーロの配当を提案する予定です。

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併せて自動車部門のネットキャッシュフローは2015年に28億ユーロ分が増加して、都合89億ユーロになった

これにより、フォルクスワーゲン グループは、株主に対して配当を払い続ける意思を示しつつ、自己のリソースで現状を乗り切ることのできる十分な体力を持っていることを明確に示したいと考えています。

また2015 年において、自動車部門の投資収益率は大幅に低下しました。

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これは主に特別項目によるものです。対象期間の投資収益率は、前年度の 14.9%に対し-0.2%に減少しました。

ファイナンシャル サービス部門における税引き前株主資本利益率は、前年度の 12.5%からわずかに減少して 12.2%になりました。

これは主に、自己資本に対する規制強化によって、持ち株比率が高まったことに起因しています。

自動車部門の純流動性資金増で、直面する課題を克服するだけでなく、成長可能な財務的安定性と柔軟性を確保した

結果、フォルクスワーゲン グループの財務状況は、依然として良好です。自動車部門のネットキャッシュフローは 2015 年に 28 億ユーロ増加して 89 億ユーロになりました。

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自動車部門の純流動性資金は、245 億ユーロ(同 176 億ユーロ)に増加しています。

これは、グループの健全な流動性政策を表しているもので、直面する課題を克服し将来にわたって収益性を保ちながら成長できるグループの財務的安定と柔軟性を確保します。

自動車部門の売上高に対する設備投資の比率は、2015 年に 0.5 ポイント増加して 6.9%になりました。

これは、フォルクスワーゲンは依然として、予測値の範囲内に留まっていることを意味しています。

生産設備への投資のほか、主として駆動システムの電化、モデルラインアップの拡大と環境対応、モジューラーツールキットの開発などに資金を投入しました。

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傘下の各ブランドの状況並びにビジネス分野は、総じて拡大基調にあると見ている

フォルクスワーゲン乗用車ブランドは、2015 年に、前年同期比 6.5%の増加となる 1,062 億ユーロ(同998 億ユーロ)の売上高を記録しました。

為替レートが有利に推移し、効率化プログラムも成果を上げた反面、ブラジルとロシア市場の縮小および排ガス案件に絡むマーケット対策コストによる悪影響を補うことはできませんでした。

その結果、特別項目を除外した営業利益は、21 億ユーロに減少しました(同 25億ユーロ)。営業利益率は 2.0%(同 2.5%)でした。従来と同様、これらの数字には、順調に推移している中国での合弁事業の売上高、利益は含まれていません。

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グループ傘下のアウディは、2015 年に前年(538 億ユーロ)を 8.6%上回る 584 億ユーロの売上高を記録しました。

これは主に、販売台数の増加によるものです。特別項目を除外した営業利益は 51 億ユーロで、ほぼ前年(52 億ユーロ)並みでした。

アウディの営業利益率は 8.8%(同 9.6%)、ディーゼル案件により2億9,800万ユーロの特別項目を計上している

販売台数の増加と有利に推移した為替レートにより営業利益が増加した一方で、新製品や新技術への開発投資および海外の生産ネットワークへの投資などが、マイナスの影響を及ぼしました。

営業利益率は 8.8%(同 9.6%)でした。アウディは、ディーゼル案件により2億9,800万ユーロの特別項目を計上しています。

なおアウディ ブランドの財務諸表には、ランボルギーニとドゥカティブランドの主要な業績指標が含まれています。

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2015 年のシュコダの売上高は、前年(118 億ユーロ)から 6.2%増加して 125 億ユーロになりました。

販売の増加およびモデルミックスの好影響、材料コストの減少および有利に推移した為替レートなどにより、営業利益は 9 億 1,500 万ユーロ(同 8 億 1,700 万ユーロ)に増加しています。営業利益率も 7.3%に上昇しました(同 7.0%)。

2015 年のセアトの売上高は、86 億ユーロ(同 77 億ユーロ)でした。

営業損失は大幅な改善を見せ、1,000 万ユーロ(同 1 億 2,700 万ユーロの損失)となっています。これは主に、販売の増加、有利に推移した為替レート、コストの適正化によるものです。

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ベントレー、ポルシェは売り上げ高を大幅に上積み。将来に於ける成長投資コストを計画的に持たせている

2015 会計年度に、ベントレーは、前年比 10.9%の増加となる 19 億ユーロの売上高を記録しました。営業利益は、34.9%減少して 1 億 1,000 万ユーロとなりました。

為替レートは有利に推移し、コスト削減も進みましたが、販売の減少、新車発売のための支出を相殺するには至りませんでした。営業利益率は5.7%(同 9.7%)でした。

ポルシェ ブランドは、2015 年も好調な業績を維持しました。215 億ユーロの売上高は、前年(172 億ユーロ)の数字を 25.2%上回っています。

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営業利益も、25.2%増加して 34 億ユーロ(同 27 億ユーロ)を記録しました。営業利益率は、厳格な収支管理により、モデルミックスの悪化、製造コストの上昇、ニューモデル/新技術の開発投資などを相殺して、前年と同レベルの 15.8%を確保しています。

フォルクスワーゲン商用車ブランドの売上高は、2015 年度に 103 億ユーロ(同 96 億ユーロ)に増加しました。

販売台数が伸びて、為替レートも好転しましたが、それ以上に製品ラインアップを刷新する費用が増加し、特別項目計上前営業利益は前年比 24.2%減少して 3 億 8,200 万ユーロになりました。

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為替レートに加え、サービス事業の拡充が収支に好影響。前年増の新規ローン・リース・サービス・保険契約を締結した

2015 年度においては、トラック、バスの世界的需要が、前年のレベルを下回りました。

このような環境下で、スカニアは 105 億ユーロ(同 104 億ユーロ)の売上高を記録しています。営業利益は、10 億 2,700万ユーロ(同 9 億 5,500 万ユーロ)に増加しました。

為替レートに加えて、サービス事業の拡充が収支に好影響を及ぼしました。MAN の 2015 年の売上高は 137 億ユーロ(同 143 億ユーロ)で、特別項目計上前営業利益は 2 億 7,700 万ユーロ(同 3 億 8,400 万ユーロ)でした。

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フォルクスワーゲン ファイナンシャル サービス部門は、2015 年も成長を続けて過去最高の業績を記録しました。

フォルクスワーゲン グループの各ブランドとの緊密な連携に加え、既存のマーケットでの売上げ増、さらなる国外市場への進出などが、好業績につながりました。

ファイナンシャル サービス部門の営業利益は、前年同期から 12.9%上昇して 19 億ユーロに達しています。2015 年中に世界中で、前年度よりも 2.8%多い 520 万件の新規ローン、リース、サービス/保険契約を締結しました。

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2016年は前年を上回る販売台数を記録中。特に中国は参入30年以来、最も力強い業績を挙げつつある

フォルクスワーゲン グループは、前年を上回る販売台数を記録して 2016 年のスタートを切っています。

1 月~3 月の販売台数は、前年同期比 0.8%増となる 250 万台となりました。フォルクスワーゲン乗用車を除く、グループのすべてのブランドが、第一四半期に、地域によっては大幅に販売を伸ばしています。

予想されていたとおり、販売実績は地域によって大きなばらつきがありました。

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例えばロシアとブラジルの状況は、依然として、どの自動車メーカーにとっても厳しいものでした。

その一方で、ディーゼル案件にもかかわらず、米国における販売台数の減少は、主にアウディとポルシェの引き続き好調な業績によって、それ程大きくはありませんでした。

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米国とは対照的に、2016年第一四半期におけるヨーロッパおよびアジア太平洋地域での自動車販売は非常に堅調でした。

中国において、フォルクスワーゲン グループは、30 年以上前にこのマーケットに参入して以来、もっとも力強い業績で 2016 年をスタートしています。

2016 会計年度におけるフォルクスワーゲン グループの販売台数は、中国における販売増加により、全体として前年と同じレベルに留まると見込んでいます。

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VWグループ全体の売上高は、為替レート・排ガス案件を踏まえ、最大で前年比マイナス 5%程度になる見込み

排ガス案件に加え、非常に競争の激しい環境、不安定な金利および為替レート、原材料価格の変動といった全ての要素が、困難な状況をもたらすでしょう。

その反面、全ブランドによって実行されている効率化プログラムおよびモジューラー ツールキットによる、プラスの効果も予測しています。

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フォルクスワーゲン グループの売上高は、経済状況(特に南米およびロシア)、為替レートの変動、排ガス案件を考慮すると、最大で前年比マイナス 5%程度になると取締役会は予測しています。

グループの営業利益に関して、取締役会は、2016 年の営業利益率は 5.0~6.0%の間になると想定しています。

乗用車部門の売上高は大幅に減少し、営業利益率は 5.5~6.5%程度になると予想しています。

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対して商用車部門の売上高は、基本的には前年と同レベルを維持し、営業利益率は 2.0~4.0%の間になると見込んでいます。

ファイナンシャル サービス部門に関しては、売上高および営業利益共に前年と同レベルになると予測しています」と、最高財務責任者(CFO)のフランク ヴィッター氏は、グループ全域の財務環境についての説明を終えた。

2016年は前年度の苦境を乗り越えて、健全なビジネスを回復する上で新たな挑戦の年になると自信を覗かせる

最後のにCEOのマティアス ミュラー氏が再びスピーチを受け持ち、「2016年はフォルクスワーゲン グループにとって挑戦の多い年になります。

楽観視できる要素も見られますが、様々な状況を前に現実主義を問われるに違いありません。

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我々はこの危機にあっても、歩みを緩めることはありません。

むしろ、すべてのブランドで、販売を行っているすべての市場で、歩みを早めようとしています。

全体として見ると、現在の展望として、2016年は再び事業を確実に成長させる機会を得ることができると考えています。

フォルクスワーゲンは、現在の厳しい状況から抜け出して、より強い企業として蘇ります。

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なぜなら、我々は、事業面において強固なポジションを確保しているからです。

また、そのための強力な財務体質も備えており、我々が今何をなすべきか認識しています。

そして、必要なことのすべてを実行していく決心が我々にはあります」と結び、CEOミュラー氏は新年度に於ける自社グループの指針について確信を以てスピーチを終えた。

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最後に、以上会見からの筆者の印象は、現段階の決算会見内容並びに財務諸表が、正しいのであれば、ディーゼル問題に関わる被害対策に関しては、自身の企業体力ゆえに、大きな課題は見受けられない様に思われる。

また傘下ブランドの頑張りもあり、事業経営上の財務課題の改善に関しても時間が解決するだろう。

ただ唯一の同社の課題は、このフォルクスワーゲングループの中でも、本社自身が持つ事業の成り立ちにある。

これは何もVW自体に限られた事ではなく、管理する側とされる側が明確な多くのドイツ企業について回ることであるが、企業統治の根幹を握る経営陣の中で、自治体や、旧くからの地域統治者に関わる人物または、その要職にある人物で占められること。

そしてさらに労組の影響力を色濃く、経営の中枢にこうした特権階級が席を並べていることにある。

他のドイツ企業と同じくVWに於いても、こうした要人達による事業経営のコンツェルン化に伴う密閉感が進んでおり、傍目で眺めている限り、経営上の柔軟性と透明性は決して高くないように見える。

また、これは我が国・日本の自動車メーカーにも共通する課題であるが、永らく機械工学領域に傾倒してきた企業体質ゆえに、「もはや自動車メーカーが単独で、しかも同じセクター内だけで、すべてのことを行う時代は終わりました。

今後も、そのようなことはないでしょう」とマティアス・ミューラーCEOが云うように、事業体単独でのデジタル技術への体質転換は、単なる「技術の獲得」という枠を超えた企業文化そのものを大きく刷新させること自体が求められており、それは実際には決して容易なことではない。

これは筆者自身が経験した機械工学領域と、デジタル領域のふたつの世界に於ける実務知見を考えてみるにつけ、切実に感じられる課題のひとつだ。

そもそも自動車そのもの成り立ちと、その捉え方が、これまでの自動車を知り、親しんできた中堅年齢世代とそれ以前の世代では大きく異なってきている中、自動車業界そのものが、そのニーズに充分に応えられているとは言えない状況にある中で、上記課題解決も実践していかなければならない。

ミューラーCEOは、VWを担う以前、ポルシェを率いていた頃から、動力源自体の変化については敏感に捉えており、次世代の動力源に対しては大変関心が高かった。

この彼の資質が活かされ、VW自体が、同社が今回掲げた新時代へ漕ぎ出すことが出来るのか、当面の経営の行方は、それに掛かっているように思われる。